第25回
2016.11.16
マナビラボ開設もうすぐ1周年!
「授業のひみつ」取材班がふり返るアクティブラーニングのポイント
まだまだ「授業のひみつ」が知りたい!
最後になりますが、これからどんな授業を見ていきたいですか。
論争的なテーマを扱ってる授業というのはやっぱり面白いと思います。必ずしも、時事的なテーマである必要はないと思うんですけど。解釈が分かれる問題というのは、教科横断的というか、必ずしもこの教科の内容だけで終わりっていうわけにはいかないと思うので。
僕が見たところでいうと、岐阜県立可児高校の課題解決の物理の授業のようなイメージです。あれは物理の中だけの話でしたけど、データをどう解釈するかをめぐって、当時の物理学者たちが実際に直面した問題を扱っていました。そうした問題を生徒たち自身でデータをもとに考えるというところや、解釈をする際に教科横断的になる可能性があるという点に、面白さを感じます。
田中さんはどうですか?
そうですね、端的に言うと二つありますね。
一つは、英語科と実習系の教科の授業です。家庭科とか、体育、音楽、あるいは美術。これらの教科って、基本は「実際にやる」っていうことをカリキュラムの中心に据えてると思うんです。英語も基本的には、話せる、聞けるということを重視しますよね。そういうスキル中心の教科というのは、実はそれだけでアクティブラーニングっぽいからこそ、あまり問題視されてこなかったところがあると思うんです。アクティブになる方法は満載なわけだけれども、そこから一歩思考が深まるように、アクティブラーニングの考え方によってどのように変えていくのか。座学だった教科は、生徒を動かしていくことによってできるけれど、もともと生徒たちが動いていた教科は、その動き方の質を変えなきゃいけないと思うんです。
もう一つは、いわゆる進路多様校です。進学校の授業はどうしても取り上げられることが多いですが、先生方の話を伺うと、進路多様校でなかなか授業に身が入らない生徒たちとどういうふうに学んでいくかという経験が、その後の授業に生きているというのがあって。「この学校は進学校なんだけど、前の学校でね……」という話をよく伺うので、進路多様校こそ、実は先生方が変わっていくきっかけや出会いがある場所なんじゃないかと。
そういう意味で、実業系や進路多様校にたくさん伺えれば嬉しいなと思っています。
今後の調査も楽しみですね。本日はありがとうございました。
(取材・原稿:村松灯)
マナビラボでは、来月からも引き続き毎月「生徒のマナビを生み出す授業」をご紹介して参ります!
次回は北海道清水高校の樋口智一先生の数学の授業です。
どうぞお楽しみに!!