マナビラボ

ワクワクする学びを明日の教室に!
ひとはもともとアクティブ・ラーナー 

立教大学 経営学部 中原淳研究室と日本教育研究イノベーションセンターは、日本全国の高校で授業をなさっている先生方が、その授業をさらに「インタラクティブ」に、さらに「知的にわくわく」したものにするお手伝いをさせていただきたいと願い、「マナビラボ」プロジェクトを立ち上げました。

マナビラボ・プロジェクトでは、主に、下記の3つの活動にラボメンバー一同で従事しています。

1.日本全国の高校のアクティブラーニングの実態を「見える化」するべく、モニタリング調査を行わせていただくこと
2.アクティブラーニングの視点に立った高校の先進的な授業実践事例を収集し、多くの人々に知っていただく機会をつくりだすこと
3.それらをWeb、書籍、報告書などのメディアを用いて世に広く問い、アクティブ・ラーナーの育成に貢献すること

なお、マナビラボ立ち上げに際して、私たちは、下記の5つの信念を持っています。この5つの信念は、私たちが私たちたる由縁であり、「マナビラボ・プロジェクト宣言」と形容してもよいものです。
本書をしたためるにあたり、この宣言に立ち返ることをもって、私たちは自らのアイデンティティを確認します。

  • 1つめの信念

    私たちの1つ目の信念は、アクティブラーニングを「新しいもの」とは「みなさない」という信念です。
    活動を始めてからというもの、高校の先生方にも様々ヒアリングなどもさせていただきましたが、強く感じたのはアクティブラーニングという言葉に対する強い拒否感、あるいはやらされ感でした。多くの先生方が思っているのは「確かに新しいけれど、今までだってあったよね」というものです。
    マナビラボでは、多くの心ある先生方がお取り組みになってきたアクティブラーニング的な授業を「再発見」し、多くの人々により知って頂くお手伝いをさせていただこうと思っております。
    私たちは、アクティブラーニングを「新しいもの」であるとはみなしません。それは心ある教員の方々が、これまでも追求してきたものであり、かつ、今後の社会を生き抜く人材にとって重要な学習機会であると考えます。

  • 2つめの信念

    2つ目の信念は、「私たちはパブリックをめざす」というものです。
    昨今、巷では、アクティブラーニングが大きな流行とも言える状況になっているわけですが、それを「商業化」のチャンスとみなす人も少なくありません。海外で仕入れた「洋風の手法」を日本に適用し、それをもって現場を塗り替えることを企図するものもあります。
    あるいは、これまで特定の手法で教育運動を主導してきた教育業界の運動主が、自らの運動に「アクティブラーニング」という新たなコーティングを施して、自分の教育運動を普及させたり、再活性化させたりしようとしているのが見て取れます。アクティブラーニングで「一旗揚げよう」という人もいないわけではありません。
    私たちは、プロジェクトメンバーの誰一人として、アクティブラーニングの「専業の研究者」ではありません。マナビラボ・プロジェクトのメンバーは、人材開発研究をしている人、哲学研究をしている人など、多岐にわたります。
    それぞれの立場から、新たな学びが高校に必要だと感じ、自らの研究のかたわら、この仕事をしています。私たちは、よりパブリックな立場から、アクティブラーニングを元気にするお手伝いをしたいと思います。
    私たちは、これからを生き抜く子どもたち、そして、そうした子どもたちと日々相対する先生方のために、パブリックな活動に従事します。

  • 3つめの信念

    3つ目の信念は、これからの学びを考えるときの姿勢です。
    これからの学びのあり方を議論する際には、教育機関だけを取り出して考えるのではなく、社会と教育機関とのつながりを考えて取り組むべきであると、私たちは信じています。

    例えば、高校を変えていかなければならないというのは、大学入試、その先の大学での教育、さらにその先の社会と、トータルに考えていく必要があります。そして、そこでの移行を円滑に進めていくということを目的にする必要があります。
    つまり、高校をひとりぼっちにしないということです。
    私たちは、志ある高校の授業を、社会につなぐお手伝いをさせていただきます。社会の心ある人々は、教育現場で日々格闘なさっている先生方と、適切なかたちで出会い、願わくば協力をしたいと思っています。これまで、多くの教育運動は「教育の世界」の独自性を主張するあまり、「教育」と「教育以外」の世界の「境界」を強固にし、固定化してきました。私たちは、そうした視点を一切とりません。教育のあり方を、社会や仕事のあり方と接続して考えます。

  • 4つめの信念

    4つ目の信念は、私たちは「見える化」にこだわるということです。
    例えば、教育制度の決め方がいわゆる審議会・協議会方式になっていることに代表されるように、教育改革談義・議論というのは、どうしても印象論・理念論で進んでしまっています。私は、今あるものが「見える化」していないのに、それを適切に「変えること」はできないと思います。
    「イメージ」できないものは「マネージ」できません。またイメージできないものは「達成」すらできないのです。なぜなら、「達成したかどうか」もわからないからです。
    生産的な議論を起こしていくのは、数字であり事例です。私たちは、アクティブラーニングにまつわる数字や事例を「見える化」するお手伝いをします。
    私たちは、印象論や理念論で教育や学習を語りません。しっかりとしたエビデンスに基づき、物事を語る姿勢を持ちます。

  • 5つめの信念

    最後の5つ目は、私たちは「対話の素材」を現場の先生方に提供したいということです。
    「現場を変えうる力」を持っているのは、私たちではありません。現場を本当に変えうる力を持っていらっしゃるのは、日々現場に立っておられる先生方の献身的な努力です。しかし、これまでの教育運動は、現場で日々相対している人々を「エンパワーメント」するどころか、意欲を減退する方向で行われてきました。
    私たちは「無力」です。
    私たちに為しえるのは、現場の改善や日々の実践に邁進しておられる先生方が、日々の実践を振り返ったり、新たな物事を構想していくときに必要になる対話の素材を提供することです。

私たちは、このような5つの信念のもと、プロジェクトを遂行してきました。
そして、それから3年・・・。
2018年4月より、マナビラボプロジェクトは、新しく生まれ変わります。
アクティブラーニングを生み出すための「学校づくり」「組織づくり」をいかに進めればよいのか?
わたしたちの新しいビジョンは、より持続的に、かつ効果的に、アクティブラーニングを生み出し続けることのできる環境を、現在の学校においていかに整備すればいいのか、という方向にむけて開かれています。
「アクティブラーニングの教育論」から「アクティブラーニングの組織論」へ
わたしたちの活動が、この国の学校の教育改善に、微力ながら貢献できることを願っています。
Learning is fun!
所員を代表して
マナビラボ所長
中原 淳(立教大学 教授)