マナビラボ

第57回

2019.11.20

堀川流「探究」のひみつを探る! 第4回(終)

京都市立堀川高等学校

今、高校教育においてホットイシューのひとつとなっている「探究」。次期学習指導要領の実施に向けて、探究を取り入れた授業づくりに取り組まれている先生方も多いのではないでしょうか?

よりよい探究についてのヒントを探るべく、今回スタッフが伺ったのは京都市立堀川高校。20年前から探究を柱としたカリキュラムを実施している高校です。

特集最終回となる今回は、副校長 平井啓明先生へのインタビュー第2弾です。働き方改革、次世代のスクールリーダー育成、高大接続改革など、話題のテーマに関わる内容をお話しいただきました。

 

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挑戦は「手放す」こととセットで

 

——もう少し踏み込んでお伺いしたいのですが……。新しいアイデアを吸い上げることはとても重要だと思う一方で、どんどんやることが増えていきますよね。昨今教員の働き方改革なども叫ばれていますが、やることを取捨選択して「これに重点化する、その代わりそれは手放す」というようなことがあるのかな、と想像します。そして、その取捨選択は管理職の先生方が中心となって判断されると思うのですが、どのような基準で選択なさっているのでしょうか?

平井先生

おっしゃる通り、何か新しいことをやろうと思うたら、同時に何かを手放さないといけないです。もうそれは、決断するしかないですね。

前任校の例ばかりで恐縮ですが、当時英語科と普通科の両方があったんですけど、「英語村」を始める際に英語科は手放しました。あれも大きな決断でした。英語科の方が、いわゆる基礎学力の高い子たちが集まってきていたこともあって、学校として「そこを放すのか」という……。手放す方を担当されてきた先生方も、「子どもたちのため」「学校のため」という強い思いや自負があって取り組まれているので、それまでの取り組みが次につくるものにどうつながっていくのかを、しっかりと明示することが重要になってきます。英語科の取り組みは「英語村」にしっかり活かされるんだ、というところですよね。

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平井先生

堀川高校でも、次々に新しいことをしていて、生徒も教員も本当にぎりぎり精一杯のところで取り組んでいるので、何かを手放した方がよいかもしれないと思って見ています。一方で、堀川は探究をおよそ20年やってきているので、「次、堀川は何を打ち出さはるんですか?」っていうのを結構言われるんですよ。そういう意味で期待もされている。じゃあ、具体的に何をやって何をやらないのか、セットで判断せなあかんというのは、今この立場だからこそ考えているところですね。

 

学校全体、市全体で人を育てる

 

——管理職ならではの視点ということで、次世代のスクールリーダーの育成についても伺いたいと思います。堀川高校では、管理職の先生方はどのような働きかけをされているのでしょうか?

平井先生

堀川高校では、まさにその観点から、非常に若い年齢の先生方に主任を任せています。他校では絶対任せないだろうという30代とかから、特に学年主任をやってもらうことが多いです。

うちは、学年主任の役割が大きくて、ほとんどすべてのことを学年でやるんです。進路部も生徒部もなくて、すべて担任団で指導することになっています。その代わり、6クラスに対して担任は10名置いていますが……。だから、それを束ねる学年主任って、他校に比べたら責任がはるかに大きいんですが、それを若い年齢の先生たちにやってもらっている。

もう、あっぷあっぷですけどもね。でも、これに耐えて3年間やり遂げてくれたら、どこの学校に行っても主任級を安心して任せられるようになる。悩む姿を見るとヒヤヒヤしたりもしますけど、うちの学校で学年主任をするっていうことはそういう意味なんやってみんな分かっているし、周りの先生たちも、それを何とか支えようといろいろ動いてくれています。

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——人事異動があって難しい、というようなお話を伺うこともありますが……。

平井先生

確かに、せっかく育成したいと思って、その先生もやり遂げてくれたのに、このタイミングで異動してしまうのか、と残念な気持ちは正直ありますよ。でも、京都市全体で学校を盛り上げるというか、人事の交換を通じてお互いの良いところを取り入れていって、全体の戦力が上がっていくことは良いことだし、そういう意識は必要かなと思っています。

 

高大接続改革:堀川の探究で身につけた力がまさに今測られようとしている

 

——最後に、高大接続に関わる部分を伺いたいのですが、大学との連携や接続という部分で何か取り組まれていることはありますか?

平井先生

京都市が京都にある大学と協定を結んでいるので、その協定に参加している大学とは、「これしたいんです」って言うたら、協力してもらえる環境があります。逆に、大学から「ちょっとこんなんで、高校生来てもらえませんかね」ってあったら、生徒らに案内したりとか。

あとは、やっぱり卒業生ですね。例えば京都大学にいる卒業生が、TA(ティーチング・アシスタント)として帰ってきてくれたりします。

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——入試改革についてはどうでしょう?学力観も変化するといわれているなかで、堀川高校は何か対策されたりしていますか?

平井先生

入試改革については、実は保護者会でもよく聞かれるんです。そのときもお伝えしているんですけど、今まで堀川の探究でやってきて身につけた力が、まさに今、測られようとしてるんです、と。堀川がやっていることが評価される、大学入試にもようやくそういう観点が加わってきているというふうに思ってください、という言い方をします。だから、新しい取り組みが必要だというふうには、あんまり思っていないです。これまでやってきたことが大学入試という近い目標で使える、いい時代になってきたっていうところですかね。

——本日はありがとうございました。

 

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京都市立堀川高等学校は、1943年新制高校の発足にともなって再編成された、京都市立高校のひとつ。前身は1908年設立の京都市立堀川高等女学校で、今年度で創立101周年を迎える。平成11年度より普通科・人間探究科・自然探究科の三つの学科が設置され、約20年にわたって探究学習を軸にしたカリキュラムづくりが行われてきた。

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