マナビラボ

第4回

2016.06.01

仲間と世界を駆ける!
BMXプロライダー

畠山紗英さん(白鵬女子高等学校)

専用の自転車と身体一つで起伏の激しいダートコースを走り抜ける。

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白鵬女子高等学校の畠山紗英さん(高校1年生(2016年1月19日当時))。アマチュアのころから次々と優秀な成績を残していたが、2015年からスポンサーが付き、プロのBMXライダーとして国内外のレースに参加している。日本だけではなく世界各国を飛び回る畠山さんに、レーサーとしての生活や学校での様子、レースに賭ける思いなどを伺った。

 

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堤:BMXってどんな競技ですか? 魅力を教えてください。

 

スクリーンショット 2016-05-31 11.51.15畠山さん:8人で同時にスタートして、コースを一斉に走ります。走っていて迫力があるんです。順位がすぐわかるのがいいですね。レースで勝ったかどうかもすぐわかるし、苦戦を乗り越えて勝ったときなどはひとしおです。練習では、同じ自転車会の友達と楽しくできているのも私にとっての魅力です。

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堤:坂や凸凹を自転車で疾走するって苦しそうなんですが……

 

スクリーンショット 2016-05-31 11.51.15畠山さん:苦しいっていうことはあんまりないかな。練習してもできないとかはあるけど、コーチや友達に相談したりして考えたり、やり続けていると成功するので。

 

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堤:成功するまでやり続けることができるんですね。普段から考えたりしているんですか?

 

スクリーンショット 2016-05-31 11.51.15畠山さん:BMXは生活の一部です。ほぼ毎日トレーニングはあるし、考える機会は多いです。けど、普段はママチャリに乗っています。起伏があると「跳びたい!」と思っちゃうこともありますね(笑)。

 

 

日常の中にBMXがあるという畠山さん。普段は修善寺や秩父、ひたちなかにあるコースでも練習しているという。実際にコースではどのような姿をしているのだろうか。茨城県ひたちなか市にある国営ひたち海浜公園(以下、ひたち海浜公園)のBMXコースで練習する畠山さんを見に行った。

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ひたち海浜公園のコースでは、多くのライダーが風を切って走っていた。高速で走行するため、コース上の急カーブはまるで崖のように切り立っている。ライダー達は、起伏を跳び越え、すり鉢のようなカーブを走っていく。ひたち海浜公園ではBMXのスクールも開設されており、小学生くらいのライダーも多い。にこやかに談笑しながら走り回っている。

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この日の畠山さんは、海外遠征から帰国して次の海外遠征へと向かう間の期間。5月にひたち海浜公園でのレースもあるので、そこに合わせて練習に来ていた。

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堤:実際に見ると予想以上に速いですね!

 

スクリーンショット 2016-05-31 11.51.15畠山さん:今日は軽めに練習してます。次のレースも近いので、無理はしないで走っています。

 

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堤:軽めでもスイスイですね! だいたい通して走るんですか?

 

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畠山さん:コースを丸々一周することはあんまりないです。気になる部分とか、走っておきたい部分を繰り返して走ります。

 

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堤:畠山さんはコースのどの部分が好きですか?

 

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畠山さん:うーん……ないですね。全部嫌いです(笑)。

 

 

といいつつも、コースに出た畠山さんはなめらかに走る。よく見ていると、頭から背筋までの軸がほとんど上下しない。上下に激しく動いているにもかかわらず、頭がほとんどブレていないのだ。時折カーブの縁に上がって、一緒に来て練習している仲間と笑いながら走りについて意見を交換している。今の走りはどうだったか、次にどのルートを走るか。真剣だが、笑顔が絶えない。

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畠山さんにとって、BMXをやる上で仲間の存在は欠かせない。4歳のころからレースに出場し、お兄さんや友達とわいわい楽しく練習することで世界を舞台に活躍するようになっている。

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堤:プロとしてレースに出ることを、どのようにお考えですか?

 

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畠山さん:17歳になるとジュニアエリートとしてプロになれますが、アマとプロではコースも違います。W杯にもプロで出られます。北京オリンピックでBMXが種目になってからオリンピックやW杯で活躍したいという意識が高まりましたが、プロとしてレースで活躍することはそれより前からの目標でした。

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堤:プロになる前の活動は?

 

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畠山さん:2008年に世界選手権に出ました。今年から回数が増えるので、長期遠征に行くことにもなります。

 

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堤:長期遠征はどうですか?

 

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畠山さん:楽しみです。レースができるだけはダメだと思っています。ご飯や洗濯などの家事も含めて体調管理ができること。コーチの言うことを聞くだけではなく、こういうことができなければ、と考えています。

 

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堤:合宿中や長期遠征ではどのような生活をしているんですか?

 

スクリーンショット 2016-05-31 11.51.15畠山さん:料理や洗濯は自分たちでしています。合宿などでは、みんなで一緒に試行錯誤して料理したり。たまに失敗もします。一緒に行く人は同じ人たちばかりではないので、いろんな人たちと生活していますね。あとは、現地で自転車やってる人の家に遊びに行って自転車に乗ったりします。レース後にリカバリーで行ったことのない街を走るのも楽しいです。

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堤:海外でも自炊するんですか?

 

スクリーンショット 2016-05-31 11.51.15畠山さん:現地のスーパーで食材を買ってきて作ります。よくわからない食材も目にしますが、わからなかったらとりあえず買って、みんなでなんとかしてみようと。逆に、場所が違っても見たことのある食材もあるので、それを使って料理したりします。見たことないくらい大きかったりします(笑)

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堤:仲がいいんですね。

 

スクリーンショット 2016-05-31 11.51.15畠山さん:レース中は競争相手でも、終わったら普通に遊んだり話をしたりしています。知らない人より友達に負けたときの方が悔しいから、もっと頑張ろうとします。一緒にやってる友達も、いいライバルという感じです。

 

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堤:畠山さんがこれから目指していくことはなんですか?

 

スクリーンショット 2016-05-31 11.51.15畠山さん:W杯では、私のいるカテゴリーと上位のカテゴリーの混合で競います。厳しいクラスでどれだけ上に行けるかに挑戦していきたいです。あとは、今後の成長のために英語は必要になってくると思っています。会話ならできますが、これからレース後のインタビューや海外選手とのコミュニケーションも英語でやらなければいけなくなるし、きちんと思いや考えを伝えるようにしたい。文法は難しいなと思いますね。ただ、練習や遠征でなかなか時間がうまくとれないことにもなりがちなので、授業の間の休み時間などを有効活用して勉強しています。
これから親離れをしていく。海外などに行くときに、自分でできた方が周りに迷惑もかけないし、料理や洗濯などの家事ももっと上手になって、選手として体調管理の質を高めていきたいとも思っています。

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堤:ありがとうございました。

 

 

BMXの技術を高めるだけではない。世界を舞台に活躍すればするほど、英語や生活する上でのいろいろなことが必要になってくる。プロ選手としてサポートはつくが、最後に体調管理をするのは自分。より高みに登るため、畠山さんは自分に必要なものをストイックに求めている。ストイックとはいえ、苦しむというよりも畠山さんは楽しんでひとつひとつ身につけている。自分一人ではなく、BMXに限らない多くの仲間たちと支えあっていることが感じられた。楽しみながら世界で学んでいることは、学校などの周りの人たちにもよい学びの刺激を与えているにちがいない。

 

  • 取材

    堤 ひろゆき

  • 撮影

    松尾 駿

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