マナビラボ

第26回

2017.05.10

全国調査の結果を解説!
〜vol.7 参加型授業実施のタイミングと頻度〜

全国調査の結果を解説する「ニッポンのマナビ いまの高校の授業とは!?」

2015年度に続き、東京大学大学総合教育研究センター中原淳研究室は、一般財団法人日本教育研究イノベーションセンターとの共同研究として、「高等学校におけるアクティブラーニングの視点に立った参加型授業に関する全国調査2016」を実施しました。
各教科(国語、数学、理科、地歴・公民、外国語)の教科主任の先生向け、各教科でアクティブラーニングに取り組んでいる先生向けの2種類の調査について、調査票を送付した全国の高等学校約2,414校のうち、約74%にあたる1,794校からの回答を得ました。

全国調査2016の結果解説、7回目となる今回は「参加型授業実施のタイミングと頻度」についてです。

 

参加型授業実施のタイミング

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実施した参加型授業のなかで最もうまくいったと思われる単元について、その単元のなかで参加型授業を実施したタイミングを尋ねたところ、5教科とも「単元のおわりの頃」の実施が最も多いことがわかりました。単元の終わりに、学習したことを発表したり、振り返ったりする活動を行うことが多いようです。

その他教科別の特徴としては、地歴・公民科で、他教科よりも「毎回の授業」実施する割合がやや低く(20.8%)、「単元のはじめの頃」で実施する割合がやや高い(24.6%)という傾向が見られました。また、外国語科において、他教科よりも「中頃」に実施する割合が低く(20.3%)、「おわりの頃」に実施する割合が高い(54.0%)こともわかりました。

参加型授業の実施頻度

 

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次に、参加型授業を実施した頻度については、5教科全体で「毎回の授業」が18.4%、「学期に複数回」が50.6%、「学期に1回」が15.1%、「年に1〜2 回」が15.9%となっており、すべての教科で「学期に複数回」の頻度が最も多いということがわかりました。

教科別に見ると、外国語科、数学科、理科では、20%以上が「毎回の授業」で実施していましたが、国語科と地歴・公民科では14%前後に留まっています。

一方で、数学科では他教科に比べて、参加型授業の実施率は低かったものの(2017/1/18更新の全国調査2016解説vol.1を参照)、実施の頻度は高いことが明らかになりました。

数学科では、参加型の学習活動が実施される全体数は少ないものの、実施されている単元に着目すると、比較的高い頻度で取り入れられている傾向があると言えます。

反対に、国語科や地歴・公民科では、実施率は他教科よりも高く、実施頻度は他教科よりも比較的低いという特徴をもつといえそうです。

 

上図は、ご自由に引用・転載していただいて構いません。また、引用・転載にあたっては、事前にご連絡をいただく必要はありませんが、必ず以下の【出典記載例】に則って、出典をご明記ください。

【出典記載例】
木村充, 伊勢坊綾, 小山田建太, 田中智輝, 村松灯, 山辺恵理子, 中原淳 (2017). 東京大学-日本教育研究イノベーションセンター共同調査研究 高等学校におけるアクティブラーニングの視点に立った参加型授業に関する実態調査2016: 第一次報告書.
http://manabilab.nakahara-lab.net/wp/wp-content/uploads/2017/01/1streport.pdf

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