マナビラボ

第18回

2017.01.18

全国調査の結果を解説!
〜Vol.1 アクティブラーニングへの取り組みの変化〜

全国調査の結果を解説する「ニッポンのマナビ いまの高校の授業とは!?」

2015年度に続き、東京大学大学総合教育研究センター中原淳研究室は、一般財団法人日本教育研究イノベーションセンターとの共同研究として、「高等学校におけるアクティブラーニングの視点に立った参加型授業に関する全国調査2016」を実施しました。
各教科(国語、数学、理科、地歴・公民、外国語)の教科主任の先生向け、各教科でアクティブラーニングに取り組んでいる先生向けの2種類の調査について、調査票を送付した全国の高等学校約2,414校のうち、約74%にあたる1,794校からの回答を得ました。

これから数回に渡って、全国調査2016の結果について解説していきます。

1回目となる今回は「アクティブラーニングへの取り組みの変化」についてです。

アクティブラーニングへの取り組み状況
アクティブラーニングへの取り組み状況

全国の高校における2016年時点でのアクティブラーニングへの取り組み状況は、
「教科として組織的に取り組んでいるわけではないが、独自に参加型学習に取り組んでいる教員がいる」 70.7%、
「教科として組織的に参加型学習に取り組んでいる」 14.9%
でした。
「組織的に取り組んでいる」教科は14.9%と決して多いとは言えませんが、
「独自に取り組んでいる教員がいる」を合わせて、何らかの形でアクティブラーニングに取り組んでいるという教科は85.5%ということで、多くの学校がアクティブラーニングに取り組んでいることがわかりました。
一方で、この結果は、参加型学習の手法を年間に1回でも実施していれば「取り組んでいる」と扱ったものであり、
「参加型学習に取り組んでいる教員はまったくいない」 14.5%
という結果も、決して小さい数値でないことに、注意を払う必要があるでしょう。

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教科別に見ると、「組織的に取り組んでいる」のは外国語科が24.2%と、他の教科よりも割合が高いことがわかりました。

「組織的に取り組んでいる」と回答した14.9%の教科の取り組みの内容としては、
「教科の会議などで積極的な呼びかけなどを行っている」 60.0%
「教科全体として参加型学習に関する目標を掲げている」 39.7%
「教科全体として参加型学習の推進に関する具体的な計画を策定している」 33.4%
ということで、目標や計画を組織として明文化している割合は、決して高いとは言えません。
アクティブラーニングの効果を高めるためには組織として取り組むことが重要です。
個人としての取り組みを組織としての取り組みにいかに発展させていくかが今後の課題となるでしょう。

 

各教科のアクティブラーニングへの取り組み状況の変化
各教科のアクティブラーニングへの取り組みの変化

各教科のアクティブラーニングへの今後の取り組み状況としては、
アクティブラーニングに「すでに取り組んでいる」教科は全体の48.0%でした。2015年度の43.9%と比べると、約4%の増加となっています。

教科別に見ると、国語科が54.1%と最も高く、外国語科53.7%、理科51.0%、地歴・公民科46.6%、数学科34.5%と続きました。
昨年度との比較では、数学科、理科で約8%と大きく増加した一方で、国語科、地歴・公民科、外国語科は約1~2%の増加に留まっていました。

上図は、ご自由に引用・転載していただいて構いません。また、引用・転載にあたっては、事前にご連絡をいただく必要はありませんが、必ず以下の【出典記載例】に則って、出典をご明記ください。

【出典記載例】
木村充, 伊勢坊綾, 小山田建太, 田中智輝, 村松灯, 山辺恵理子, 中原淳 (2017). 東京大学-日本教育研究イノベーションセンター共同調査研究 高等学校におけるアクティブラーニングの視点に立った参加型授業に関する実態調査2016: 第一次報告書.
http://manabilab.nakahara-lab.net/wp/wp-content/uploads/2017/01/1streport.pdf

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