第22回
2017.10.11
勉強することは何かができようになることではない!?まったく新しい勉強のススメ
マナビや教育について、ちょっと立ち止まって考えてみるきっかけづくりを目的にした、「3分でわかる!マナビの理論」。
第20回の今回は、アメリカの教育学者タイソン・ルイスの On Study(2013) から一節をご紹介します!
教育学において豊かなマナビに向けた方法やそうしたマナビの意義を論じる際、重要なてがかりとされてきたのは「学習(learn)」の概念ではなかったでしょうか。
もちろん「学習」をめぐる多様な議論の蓄積がもつ価値は減じられるものではありません。
しかし、「学習」の概念は何かが「できない」状態から「できる」状態になる過程を想定するものではなかったかと、ルイスは問います。
「学習」は実は教授の目的と結びつけられて考えられてきたのではないか、と。
翻って、そうした目的に結びつけられた「学習」の過程に還元されないようなマナビのあり方は看過されてきたのではないか。
こうした問題関心からルイスはstudyの概念をてがかりに、学習と教授の目的との結びつきを解きほぐすことで、
「できるようになること」に回収されないマナビの位相を明らかにしていきます。
石ころに惹かれてそれを拾い集めてしまうとき、他の誰かにとっては何の価値もないと思われるものに心惹かれるとき、ひとまとまりの意味を持たない断片に触発されるとき、
私たちはstudy(勉学・研究・探究)しているのかもしれません。
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取材
田中 智輝
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撮影
町支 大祐
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撮影
渡邉 優子