マナビラボ

第17回

2016.11.30

「俺、入れない」っつって
防衛して腕組みしてて
「何が生まれるの?」」
お笑い×インプロ(即興)×教育

かもめんたる x 中原淳 x モクレン(Part 1)

ラボ長の中原が、教育に熱意のある著名人の方をお招きして「これからの社会」や「これからの教育」についてざっくばらんに語り合う、「15歳の未来予想図」。

今回のゲストは、お笑いコンビのかもめんたるのお二人です!!
「マナビの笑劇場」でお馴染みのモクレンのお二人にも、ご参加いただいています。

NHK講座「国語表現」に出演するなど、教育にお笑いをプラスする活動をしているほか、
お笑いを学びたい一般のひとに向けた講座も持ち、様々な手法を模索しながら教えているかもめんたるのお二人。
様々な手法を学ぶ中で出会った「インプロ(即興)」の特徴と可能性について、
「マナビの笑劇場」でお馴染みのモクレンのお二人ととも語ります!

※「かもめんたる」
…岩崎う大さんと槙尾ユウスケさんのお笑いコンビ
…キングオプコント2013優勝
先月放送されたキングオブコント2016でも決勝に進出
…公式サイト:http://kamomental.com
…youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/user/kamomental

 

→Part2は来週公開!

 

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中原: 皆さん、こんにちは。『15歳の未来予想図』ですね。
このコーナー、いろんな識者とか著名な方に来ていただいて、高校、そして学びをゆるゆる語るみたいなコーナーですけれども、今日は「かもめんたる」さんね。
岩崎さんと槙尾さんに来ていただきました。

岩崎: よろしくお願いします。

槙尾: お笑いコンビをやってます。
「かもめんたる」って一体何だろうっていう人もしれないですからね。
お笑いコンビをやってます。

中原: お笑いコンビ。
で、こちらもお笑いコンビ、「モクレン」さん
矢島さんと野村さんに来ていただきました。

矢島: よろしくお願いします。

野村: よろしくお願いします!

中原: よろしくお願いいたします。
何で「マナビラボ」で「お笑い」なのかっちゅう話なんですけれども、お笑いと教育をつなぐことを、この2つのグループはやってらっしゃるんですね。
どんなことを具体的にやってらっしゃるんですかね?

槙尾: まず僕たち「かもめんたる」としては、今、実はいろいろ実際にお笑いだったり、演技だったりを教えるっていうようなことをやったりはしてて。

岩崎: 「講師」ってことですよね。

槙尾: そうですね。

岩崎: お笑いを目指してる人だったり、そういうのにやや興味がある一般の人向けに。

槙尾: その中で、実は「モクレン」の2人とも一緒にやらしてもらっていて。
社会人の方相手の講座だったりとか。
お笑いとまではいかないですけど、「コミュニケーション術」を、お笑いを通して学んでいこうとしてます。

岩崎: 僕らも、まだ「模索」してるんです。
お笑いを、お笑い芸人になる人には教えることができる。
でも、実際にそこまで興味はないけど、何かお笑いのいいところを、社会の活動というか、一般のコミュニケーションの中でとかに生かせるんではないかということを考えて。

槙尾: やってる。

岩崎: 「模索」中なんですけど。

中原: それって、どんな人が来るんですか?

槙尾: いろんな人が来ますけどね。
大学生の方だったりとか、教員の方とかもいらっしゃいますし。

中原: 先生も?!

槙尾: はい。
あと、実際に何かやってる人もいますし、演劇だったり、お笑い芸人さんだったりとか。
いろんな方がいらっしゃいますね。

中原: どんな講義をやってらっしゃるんでしょうか?
講義なのかな?

岩崎: 今のところは、まだ何度も言うんですけど、「模索」中なんですよね。

中原・矢島・野村:(笑)

岩崎: 参加者の方と一緒にコントを作ったり。

槙尾: ありましたね。

岩崎: 人前で何かやる、笑いをやるって、結構抵抗があるんですよね。一般の人にとっては。
やりたくても、実際に人前に立ってやるって。
でも、みんなで集まって、人前で実際やるところまで体験してみて、その中で、「それぞれいろいろ来る前に思ってたことと照らし合わせてどうだったのかな?」とか、「自分の中で何かを見つけてもらえるのかな」と思いつつ、コミュニケーションやユーモアとかを学んでいくっていう。

中原: そういうのを教えられるんだね。
でも、一緒にコントをつくっていく中でやっていくっていうのは、面白いかもしれないですね。

岩崎: そうなんですよ。

槙尾: あと、もう一つ軸としてあるのは、「モクレン」の2人が即興、インプロっていうのに携わってて、それを僕たちも一緒に学ばしてもらって。
今度は全員でインプロっていうものを、また一般の方に向けて、教えるって言ったら偉そうなんですけど……

野村: ワークショップをやってます。

槙尾: 一緒につくるっていうのもやったりしてます。

中原: じゃあ、「即興劇」ですよね。
インプロに興味を持たれた、何か理由はあるんですか?

槙尾: 最初は僕が興味を持って。まだ実はこの人は……

中原: 懐疑的だね?

岩崎: まさに懐疑的なんですよね。
僕は、インプロをこういう目で見てる。

野村: 今もですか?!

中原: 何かうさんくさいよね。

野村 ひどい(笑)

岩崎: ていうのは、僕、コントをやってるんですけど、割と準備して、つくり込んで、本当に練って練って練っていくっていうのを、主にやっていってるんですよ。
インプロを知らない僕がこんな勝手に言うのもあれですけど、印象としては、インプロはその場瞬間の笑いをやってる。
「友達の誕生日会が楽しい」のと一緒、みたいな。

中原・槙尾・矢島・野村:(笑)

槙尾: でも、近いかな(笑)

野村: ニュアンスは近い(笑)

槙尾: その場の瞬間、瞬間を楽しもうっていうなら……

野村: 楽しむっていうなら近いですね。

槙尾: それを楽しもうっていうのはあるもんね。

中原: そういう「瞬間芸」が嫌なの?

岩崎: 少し引いて見ちゃう習性があるので、盛り上がってる人たちを見ていると、「何これ?」みたいな。
あなたたちは笑うかもしれないけど、これを誰が見て……いや、こんなにディスるつもりもなかったんだけど(笑)

中原・槙尾・矢島・野村:(笑)

中原: やってるんだよね? 一緒に(笑)

岩崎: やってる(笑)

野村: だいぶワークショップとか出てます。だいぶ出てくれてます(笑)

槙尾: 岩崎くんも教えてる(笑)

岩崎: やりますけど(笑)
でも確かに、笑いを教育につなげる部分というのでは、インプロっていうのは、すごい可能性を持ってるとは思っております。

野村: そうですね。

岩崎: インプロは、まさにお笑いを、芸人じゃない皆さんが……

中原: さっき、ディスってなかった?(笑)

岩崎: 違うんです(笑)僕はあれだと思うけど……

槙尾: 認めれば(笑)

岩崎: 「需要」はあると思うんですよ(笑)

槙尾: 僕の方が、最初はインプロっていうのにすごく興味持っていて。
モクレンがやってるインプロのイベントに参加させてもらったりして。

野村: そうです。それがきっかけで。

槙尾: 始まったんですよね。
僕はどっちかっていうと、コンビの関係性では「プレーヤー」なんですよ。
こちら(岩崎さん)が作・演出。僕はどっちかっていうと役者的な。
そんな中で、海外ではインプロが役者の養成にも使われてる
演技力の方でも、プレーヤーとして何か成長できるかなと思って、インプロを始めたのがきっかけです。

岩崎: それでみんなが仲良くインプロしてるところ、お笑い芸人が参加して、後ろから腕組みして、偉そうに見てたっていうのがストーリー(笑)

槙尾: 一番最初ね(笑)

野村: 僕と槙尾さんの始めての出会いが、僕のワークショップなんです。
インプロ・ワークショックに来ていただいて。そのとき槙尾さん、「マッキー」っていうインプロネームを付けてて。

槙尾: 「マッキー」ね。

野村: 僕もファシリテーターは結構な回数やってたので、「みんながなるべく参加できるように」っていうのを意識してやるんですよ。
そうしたら槙尾さんが腕を組んで、参加しないで見てるみたいな場面が結構あって。

槙尾: 後半は特に、そうなっちゃったんですね。
まさに、さっきこの人が言ってた……

岩崎: 前半なら、まだ分かるよ。
後半そうなるっていうのは、本当にそういうやつじゃん!(笑)

中原・槙尾・矢島・野村:(笑)

槙尾: さっきまさしく言ってた、「みんなが楽しんでるのを、ちょっと懐疑的に見る」感じになっちゃったんですよね。
そのときの場を見ながらね。「これ、みんな楽しんでるけど、自分楽しめてないな」って、そのときは最初、実はなっちゃったんですよ。
そう思うと、どんどん入れなくなって

岩崎: 腕を組んじゃった、と(笑)

槙尾: そう(笑)

中原: 防衛してるんだよ(笑)

槙尾: 「どうなってるんだろう、これ?」っていう感じになったんですね。
1回入らないと、どんどん「俺は入ってない」って状態になっちゃって。
ていうのが、最初ありましたね。

野村: だから、休憩中にファシリテーターみんなで集まって、「マッキーがすごく嫌そうにしてるけど、どうしよう」みたいな会議を開きました(笑)

槙尾: 「嫌そうに」っていうわけじゃないんだけど。
もちろん興味を持って、「何とかこれをお笑いにつなげたい」っていう気持ちで、そのイベントに参加してたので。

中原: 一般的なお笑いとね。もう何の話をしてたのか、よく分かんないけど(笑)
一般的なお笑いとインプロって、そんな違うんですね?
ある意味、「スクリプトで作り込んでいってやる」のがお笑いなのかな?

岩崎: はい。お笑いって、どこか「横から茶々入れる」とか、「突っ込む」感じとかがあるんですよね。目線として
なので、わいわい楽しくなってくると「それを横からつつきたくなる」っていう目線があるので、ちょっと引いちゃうみたいなところがあるんですけど。
でも現実社会においては、絶対わいわいやってたほうがいいんですよ。楽しいんです。
だから、そこに僕は教育の可能性を感じてる。
さっきの槙尾みたいに参加して、「俺、入れない」っつって防衛して、こうやって腕組みしてて、「何が生まれるの?」っていう話じゃないですか。

槙尾: もう、そういう目線なわけですね(笑)

岩崎: だから「皆さん、中に入ったほうが楽しいんじゃない?」っていうメッセージに、インプロの可能性はある。

槙尾: でも、僕はお宅と考えが違うのは、「お笑いは限りなくインプロと近いな」って思ってる。
バラエティー番組とかも、全部インプロですよね。

矢島: そうですね。平場のフリートークなんか。

野村: フリートークはかなり。

槙尾: そうなんですよね。実は。

中原: 台本、何も書いてないの?

槙尾: あるんですけど、一応この流れでいきましょうってなってますけど、いざ本番収録始まったら、もう自由ですからね。
そこで「台本ではこうなってたのに」とか「これ言わなきゃ」とかやってたら、もう成り立たなくなりますし。
その瞬間、瞬間を大事にしていかないと

中原:なるほどね。
話を戻すけど、インプロのワークショップに参加してる人は、要するに、楽しんでる?

岩崎: 楽しんでるはずですよね。

矢島: 毎月「ワラインプロ」っていうライブを、槙尾さんが主催になって開催してます。
われわれは進行・音楽を担当させてもらってますけど、満足度は高いんじゃないですか。

槙尾: 参加してくれる一般の方は、楽しんでくれてると思いますよね。

野村: ワークショップも、かなり満足度は高いような印象ですけど。

槙尾: 基本、「笑いの絶えない授業」にはなると思います。
僕らも芸人なので、教えながら、笑いが起きてないと、ちょっと不安になっちゃうので。

中原: でも、一般的な芸人のイメージって、「教える」っていうのと結構遠いんだけど。
最近、そうやって教える現場にも出ていくんですか?

岩崎: 僕らは割と、特殊な芸人という……

中原: 「特殊芸人」?(笑)

岩崎: 「特殊芸人」なんですよ。

槙尾: そもそも、こんな声ちっちゃい芸人いないですからね(笑)

中原: それは真にかなってるね。

岩崎: おまえもだからな。

槙尾: こうやって、すぐ言い返してくるんですよ。あなたの勝ちでいいですよ(笑)

岩崎: おまえもだからな。

槙尾: (笑)でも、最近は芸人さんでも、吉本の方とかでも、NSCで芸人さんが実際に教えたりとか、そういうのはあるみたいですけどね。

中原: そうなんですね。時代変わったね

岩崎: そうですね。どんどん変わっていってるんですよ。

 

>>Part2は来週公開予定!
  • 取材

    中原 淳

  • 撮影

    松尾 駿

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