マナビラボ

第20回

2016.12.21

どんな時間も「振り」になる
悩んだ時間も「ネタ」になる
お笑い×インプロ(即興)×教育

かもめんたる x 中原淳 x モクレン(Part4)

ラボ長の中原が、教育に熱意のある著名人の方をお招きして「これからの社会」や「これからの教育」についてざっくばらんに語り合う、「15歳の未来予想図」。

お笑いコンビのかもめんたるのお二人をゲストにお迎えしての鼎談企画、ついに最終回のPart4となりました。
今回も引き続き「マナビの笑劇場」でお馴染みのモクレンのお二人にも、ご参加いただいています。

NHK講座「国語表現」に出演するなど、教育にお笑いをプラスする活動をしているほか、
お笑いを学びたい一般のひとに向けた講座も持ち、様々な手法を模索しながら教えているかもめんたるのお二人。
 
今回は最終回ということで、「高校生へのメッセージ」を話していただきました。
 
どんなにいまつまらない時間を過ごしているとしても、それは後々「振り」になる?!
どんなにいま悩んでいても、それも後々「ネタ」になる!?
 
お笑い芸人ならではのメッセージです!

 

※「かもめんたる」
…岩崎う大さんと槙尾ユウスケさんのお笑いコンビ
…キングオプコント2013優勝
  先月放送されたキングオブコント2016でも決勝に進出
…公式サイト:http://kamomental.com
…youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/user/kamomental

 

 

 

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中原: このコーナーは、高校生とか高校の先生方が見てるんです。
なんかこう、ワンメッセージ。高校生への方が言いやすいかな。
なにかあったとしたら、一言いただきたいなと思って。

岩崎: 高校生へのメッセージ……どういう方向性ですか?

中原・槙尾・矢島・野村: (笑)

矢島: え、いま打ち合わせが始まりました? 公開打ち合わせ(笑)

中原: そうだな。高校の先生だったら、例えば笑いとかコミュニケーションって観点でいくと、高校生を魅了しちゃうような授業とか、そういうのってどうやって作っていけばいいのか、とかさ。そういうのって、ヒントになると思う。

岩崎: 高校の先生に対して。

中原: 高校生だと、どうかな。

岩崎: 自分が高校生の頃を思い返すと、なんかこう、漠然と将来に不安があると思うんですよね。
大学に行くための勉強とかあるけど、実際に自分は今後ずっと何をやっていきたいのか、とか。
なんか漠然と将来に対する不安、みたいな。
何かやらなきゃいけない。
周りはいろいろちゃんと物事が見えていて、そこに周りの友達は進んでいっているような気がする。
でも、自分はまだそこに進めていない、って思ってたんですけど。
いまはその時間をあんま恐れる必要はないのかな、って思ってて。

何にもしてない人でも、それはそれで、その時間、何にもしてこなかったやつにしか見えない視点とか視野があると思うんですよ。
「ずっとゲームばっかやっちゃってるな、俺」とか思ってても、ずっとゲームやってなかったやつにしか見えないものってあると思うんですよ。
だから、そういうところにあまり恐れずにいてほしいなっていうのはあるんですけど。

でも逆に言うと、それを恐れてた自分のことも、後になると「あの恐れの日々があったからの今がある」とも思えるんで……
結局、俺のメッセージは無視してください。

今のから多分、皆さんは全部分かってくれると思います(笑)

中原: ここまではカットしておく必要がある(笑)

岩崎: ここは流しておいてください。軽く。

中原: (笑)槙尾さん、どうですか。

槙尾: そうですね。
先ほどお話しした僕が高校時代の先生から言ってもらった言葉じゃないですけど、「つながり」っていうのをすごく意識しながら高校生活を送るといいんじゃないかと思います。
僕自身今でも高校時代の同級生とのつながりはあるし、高校の時の先生の言葉が生きてたりするし。
僕はいまお笑い芸人をやってる人生ですけれども、その人生では高校時代が全部ネタになるっていうか、自分の血となり肉となってる気がするんで。

確かにつまんない授業もあったし、「何なんだこの時間は」とか思ってる時間も全部、「振り」になってる気がするんで
ちょっとそういうのも意識しながら。
意味がないようなことでも全て意味があるし。

中原: 後から考えてみると。

槙尾: そうですね。
あと、僕は高校のときに「何のために勉強するのか」みたいな本を読んで、それで勉強に対して意欲が一気に増したんですよ。
何のためにやってるのかよく分からない時期に、「そうか、勉強ってこういうためにやるんだ」って自分の中にすっと入った瞬間があったんで。
それでも、なんか難しい……

岩崎: それはどういう答えだったの? 簡単にちょっと言って。

槙尾: それはもう、難しいですよね。口で言うのはね(笑)

野村: 抽象的なことですもんね、かなりね。

槙尾: そう、でも人から「このために勉強するんだよ」って言われても分からないんだけど……

岩崎: じゃあはっきり、その本のタイトルは?

槙尾: 本もあまり覚えてない(笑)

中原・矢島・野村: (笑)

槙尾: なんかね、相対性理論の本なんですよ(笑)
アインシュタインさんの相対性理論の何とかって本があって、これがジュニア新書から多分出てるんです。

中原: 岩波ジュニア新書だね。

槙尾: 多分、「高校生のうちに読んどくべき本」みたいな感じで推薦図書があって。
そういうのを結構いろいろ読んでたんですよ。

もう一つ、「何のために大学に行くか」みたいな本もあるんですよ。
これも僕、高校のとき読んでて、すごくためになって。

あともう一つが、確かその相対性理論の本。「アインシュタインが何を考えたか」だったかな。
それを読んだときに、勉強ってこういうことのためにあるんだって思えて。

岩崎: それを言えよ、だから(笑)

中原・矢島・野村: (笑)

槙尾: 自分で岩波ジュニア新書とかの本を読んで、あと、「哲学ってなんだ」っていう本とかもあったと思うんだけど。

中原: よく読書してますね。

槙尾: そう、読書は結構しといたほうがいいかなと思って。
それで僕は、高校生自身に自分たちの中でそれを感じていただいたほうがいいと思うんです。
ここで僕が答えを言うのは簡単ですけど。

岩崎: うそつけ(笑)

中原・矢島・野村: (笑)

槙尾: 自分で読んで、落とし込んでやってもらえればと。

中原: モクレンさんは?

矢島: なんかある?

野村: 高校生へ。僕は何でしょうね……
ちょっと、いま絶対僕に話を振られることないと思ってたんで。

中原・岩崎・槙尾・矢島: (笑)

岩崎: なんでだよ!(笑)

中原: インプロだろ?(笑)

岩崎: じゃあさ、高校時代の自分へのメッセージ

矢島: それいいじゃない。

野村: だとしたら、「そのままでいいよ」っていうふうには思いますね。
なんていうか、僕も進路が早く決まる人を見ていて焦燥感があったんですよ。

岩崎: 周りはみんな、そう見えるよね。

野村: 見えます。
専門学校に行く人とかも、例えば看護師になるんっだって。

岩崎: そう決めてるわけだもんね。

野村: 「すごいな」みたいな。
で、僕もそのとき、うっすら芸人になろうとは思っていて、周りに言ってもいたんですけど、でも実際なれるのかなって不安もあるし。
僕は鹿児島県の枕崎市っていう、くそ田舎出身なんですけど、そこだと東京に行くことってほぼ、海外に行くのと同じような感じなんですよね。
で、芸人になるって言ったら周りに「かっこいい」って言われるんですよ。
田舎だと、そんな人いないから。

でも、「俺ってこれを言って、今みんなにかっこいいって思われたいだけなんじゃないかな」って、思っちゃったんです。
だけど本当になりたいんです。
今考えたら、絶対本当になりたいから大丈夫だよって思うんですけど。
かっこつけたいだけの自分なんじゃないかっていう疑いを持つと、なんか、止まらなかったです。
そのとき。
たまらなく寂しくなるし。

だけど、人前では「俺、芸人になるから!」みたいな訳分からないことを言って、かっこつけてる感じだったんですけど。
けど、それも含めて「そのままでいいよ」っていうふうには思います。

夢は大きいほうがいいと今は絶対思うし、友達に言ってた「芸人になりたい」っていうことも間違いないから、思ってることはそのまま言ってていいから、そのままで自信を失わずにいてほしいっていうふうに。
ちょっと薄いメッセージですけど、思いますね。

中原: なるほど。
じゃあ、矢島さんは?

矢島: 今の話を聞いてて僕もすごく思いますけど、夢を諦めるのは、人に言われたことじゃなくて結局自分が諦めるわけだと思うんですけど。
僕、学校とかに行ってネタやってるんです。
子どもがなりたい職業って、いっぱいありますよね。
歌手になりたいとか、サラリーマンになるとか。
その中で、ある子どもがパッと「僕、実は夢があって、小説家になりたいんです」って言ったんです。

でも、後々その子の先生から聞いたら、その子は自分の夢を語るなんていうタイプの子じゃなかったんだ、と。
どっちかっていうと、登校不登校の波がちょっとある子で、みたいな話を聞いて。
で、その子が「モクレンさんを見て自分の夢が話したくなった」っていうのは大きなことなんですっていうふうに言ってくれたんです。

いったらお笑い芸人なんてなっても保証がない仕事だし、夢としても大きいというか、口で話すにもちょっと恥ずかしいようなものですよね。
だから、僕も口にするのをためらう時期があったんですけど、でもそれを堂々と自分たちが「でもいいじゃんか」って思ってやったことを見たことで、その子の心が開いたような気がして。

心が閉じるときっていうのは、いろんな人から言われて諦めることなのかなって思うんです。
でも、とやかくいろいろ言われても恐れずに「そのまま」でいいっていう、う大さんと野村くんの話を聞いて、本当にそうだなと思いました。

中原: まあ、そういうふうに悩む時期はあるよね。

矢島: あります。

岩崎: 悩むことは大事っちゃ大事ですよね。

中原: 悩んでるだけぜいたくな気もするよね。
大人になるとさ、くそ忙しくて、悩めないんだよね(笑)。

じゃあ、時間になりましたので、なんか本当にゆるゆるとした感じになっちゃいましたけど、きょうは本当にどうもありがとうございました!
かもめんたるさんとモクレンさんでした。

お疲れさまでした!

岩崎・槙尾・矢島・野村: お疲れさまでした!

 

(終わり)

 

  • 取材

    中原 淳

  • 撮影

    松尾 駿

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